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スで、仕上げ工程も高い質感と品質を裏付けるようなものであった。完成車はショウルームのような所に並べられ、購入者の検収作業が行われる。
工場見学後、昼食をとりながら、同社の低床。低公害バスヘの取り組みの話を伺った。同社では、機器メーカと共同で、新しい技術の車両開発には積極的に取り組んできており、様々なタイプを登場させてきている。その柱は、代替燃料(CNGが主)とゼロエミッションヘの対応の2つで、後者は、ピュアEV、ハイブリッド、トロリーとの両用、燃料電池など多岐にわたるプロジェクトが進行中である。CNG車については、ドイツのバイエルンの森で10台の車両を運行中の他、アメリカではロスアンゼルスで300台規模のCNGシティバスを走らせている。
ピュアEVに関しては、小型MIC(N8008E)で、VARTA社と共同で、カセット式電池交換所を含むシステムとして発表し、いくつかの都市で試験運行がなされた。モータは定格25kW、最高速60km/h、航続距離80kmという性能を有するが、コスト的な折り合いが付かず、その後の採用例はほとんどない。
ハイブリッドについては、MM杜と共同で、ハブモータを使用したエンジン・電気ハイブリッド(エンジンはガソリン、ディーゼル数種あり)バスをMIC(N8012)にて試作して試験を行い、その結果を踏まえて、次世代バスN4114DEに至っている。MM社のモータをはじめとするシステムでは、エンジン、バッテリ、トロリー、フライホイール、燃料電池など様々なパワーソースとの組み合わせが提案されている。N4114DEは低床車室の増加と低公害などの要求を両立するものとして、1994年にプロトタイプ(N4014DE)が登場したもので、超ロングWBと4WSの採用で、エンジン、モータなど機器を後部車輪上に押し込み、それより前部をフルフラットフロアとしたもので、DABのプロトタイプと似たプロポーションを有する。174kWのディーゼルエンジンで150kWの発電機を駆動し、2個の最大90kWのホイールインモータを駆動する。補助エネルギ源としては、20km程度ゼロエミッションで走行可能とする、バッテリとフライホイールが装備され、これらは、ブレーキエネルギの回収にも役立つ。ホイルベース数種、連節タイプなどにより、種々の用途に対応が可能で、97年には30台以上の量産タイプが登場予定となっている。車両価格については、100台生産すると従来車比115%程度に抑えられる見込みとのこと。なお、本車種は1995年のバスオブザイヤを受賞している。
トロリーバスについては、1992年にバーゼル向けN6020が登場した。このバスは連節・低床タイプで、エネルギ貯蔵用のフライホイールを装備し、トロリー区間外も約4kmはゼロエミッションで走行できる。エネルギ回生によって25%のエネルギ削減に成功している。
一方、低床バスのコストについては、ドイツ国内の同社の低床バス生産規模が300台程度で、従来車より15%程度上昇しているが、さらに低コスト化への要求に対しては、東欧等でのノックダウン生産により対処する方針という。中国やインドネシアでのライセンス生産が行われているため、将来的にはこの地区での低床バス生産も考えられる。

 

(7)メルセデス・ベンツ社
メルセデスベンツ社は、言わすと知れた高級乗用車メーカであるが、世界一の商用車メ

 

 

 

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